また、ただ一ひとつ二ふたつなど、ほのかにうち光ひかりて行いくも、をおかし。
また、蛍ほたるがただ一ひとつ二ふたつなど、かすかに光ひかって飛とんで行いくのも趣おもむきがある。「春はるはあけぼの(枕草子まくらのそうし)」:6
雨あめなど降ふるも、をおかし。
雨あめなど降ふるのも風情ふぜいがある。「春はるはあけぼの(枕草子まくらのそうし)」:7
まいて、雁かりなどのつらねたるが、いと小ちいちひさく見みゆるは、いとをおかし。
まして、雁かりなどが列れつをなして飛とんでいるのがとても小ちいさく見みえるのは、たいそう趣おもむきがある。「春はるはあけぼの(枕草子まくらのそうし)」:10