男、いといたう泣きてよめる、
男はとても激しく泣いて、詠んだ(歌は)、「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:7
とよみてやりて、狩に出でぬ。
と詠んで女のもとに送って、狩に出かけた。「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:10
「わが国にかかる歌をなむ、神代より神も詠ん給び、
「私の国ではこのような歌を、神々の時代から神もお詠みになり、「二十日の夜の月(土佐日記)」:10
今は上中下の人も、かうやうに別れ惜しみ、喜びもあり、悲しびもある時には詠む」
今は身分が高い人も中ぐらいの人も低い人も、このように別れを惜しんだり、また喜びがあったり、悲しみがあったりする時には詠みます」「二十日の夜の月(土佐日記)」:11
とて、詠めりける歌、
と言って、詠んだ歌は、「二十日の夜の月(土佐日記)」:12
とぞ詠めりける。
と詠んだのだった。「二十日の夜の月(土佐日記)」:14
さて、今、そのかみを思ひやりて、ある人の詠める歌、
さて、今、当時のことを思って、ある人が詠んだ歌は、「二十日の夜の月(土佐日記)」:23