またさらでも、いと寒さむきに、火ひなど急いそぎおこして、炭すみもてわたるも、いとつきづきし。
またそうでなくても、ひどく寒さむいので、火ひなど急いそいでおこして、炭すみを持もって行いくのも、まさに冬ふゆの早朝そうちょうにふさわしい感かんじがする。「春はるはあけぼの(枕草子まくらのそうし)」:15
さりぬべきもの候そうらさうらはわば、
もし(勅撰ちょくせん和歌わか集しゅうに入いれるのに)適当てきとうな歌うたがありますならば、「忠度ただのりの都落みやこおち1:落人おちゅうど(平家物語へいけものがたり)」:28
さりぬべき歌うたいくらもありけれども、
(勅撰ちょくせん集しゅうに選えらばれるのに)ふさわしい歌うたはいくつもあったが、「忠度ただのりの都落みやこおち2:故郷こきょうの花はな(平家物語へいけものがたり)」:22