昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。
昼になって、だんだんにあたたかくなり寒さがゆるんでいくと、火桶の火も、白く灰が多くなって、よくない。「春はあけぼの(枕草子)」:16
さりとて、しいださんを待ちて寝ざらんも、わろかりなんと思ひて、
けれども、ぼた餅を作りあげるのを待って寝ないとしたら、それもよくないだろうと思って、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:5
かやうに風悪く吹きて、かの島へぞ吹き上げける。
このように風が悪く吹いて、その島へ舟を吹き上げてしまったのだった。「一寸法師4:鬼が島」:7