親の言なりければ、いとねむごろにいたはりけり。
(斎宮は、)親の言うことだったので、大変心をこめて世話をした。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:5
男、いとうれしくて、わが寝る所に率て入りて、
男はとてもうれしく思って、自分の寝所に(女を)連れて入って、「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:19
男、いとかなしくて、寝ずなりにけり。
男はとても悲しくて、寝なくなってしまった。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:22
いと心もとなくて待ちをれば、
大変じれったく思いながら待っていると、「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:3
男、いといたう泣きてよめる、
男はとても激しく泣いて、詠んだ(歌は)、「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:7
今宵だに人しづめて、いととくあはむと思ふに、
せめて今夜こそは人の寝静まるのを待って、とても早く逢おうと思っていると、「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:12
いと思ひの外になむ賞でける。
とても意外なほどに賞賛した。「二十日の夜の月(土佐日記)」:19
夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。
夕日が照って、山に沈もうとしている頃に、烏が寝どころへ行こうとして、三羽四羽、二羽三羽など、急いで飛んでいくのさえ情趣が感じられる。「春はあけぼの(枕草子)」:9
まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。
まして、雁などが列をなして飛んでいるのがとても小さく見えるのは、たいそう趣がある。「春はあけぼの(枕草子)」:10
霜のいと白きも。
霜が真っ白におりているのも(いい)。「春はあけぼの(枕草子)」:14
またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭もてわたるも、いとつきづきし。
またそうでなくても、ひどく寒いので、火など急いでおこして、炭を持って行くのも、まさに冬の早朝にふさわしい感じがする。「春はあけぼの(枕草子)」:15
女もはた、いとあはじとも思へらず。
女(斎宮)の方もそれほど強く逢うまいと思っているわけではない。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:10
聖教の細やかなる理いと弁へずもやと思ひしに、
仏の教えの詳細な理論はあまりわかっていないのではないかと思っていましたが、「吾妻人と都人(徒然草)」:22