接続四段動詞の已然形、サ変動詞の未然形に付く。
男、いといたう泣きてよめる、
男はとても激しく泣いて、詠んだ(歌は)、「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:7
とて、詠めりける歌、
と言って、詠んだ歌は、「二十日の夜の月(土佐日記)」:12
とぞ詠めりける。
と詠んだのだった。「二十日の夜の月(土佐日記)」:14
さて、今、そのかみを思ひやりて、ある人の詠める歌、
さて、今、当時のことを思って、ある人が詠んだ歌は、「二十日の夜の月(土佐日記)」:23
また庭を掃除すれば、その塵土聚まりフルヘッヘンドすといふやうに読み出だせり。
また庭を掃除すると、その塵や土が集まってフルヘッヘンドするというように解読できた。「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:11
「甚だ尤もなり。堆と訳さば正当すべし」と決定せり。
「まったくそのとおりだ。盛り上がっていると訳すならぴったりだろう」と解釈が定まった。「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:21
連城の玉をも得し心地せり。
非常に価値のある宝玉をも手に入れたような気がした。「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:23
「つねの使よりは、この人よくいたはれ」と言ひやれりければ、
「いつもの使者よりはこの人によくしてあげなさい」と言ってやってあったので、「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:4
女もはた、いとあはじとも思へらず。
女(斎宮)の方もそれほど強く逢うまいと思っているわけではない。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:10
外の方を見出してふせるに、
外の方を見ながら横になっていると、「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:17
月のおぼろなるに、小さき童を先に立てて人立てり。
ぼんやりした月の光の中に、小さい童女を先に立たせて、人が立っている。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:18
人の心劣れりとは思ひ侍らず。
人の心が劣っているとは思いません。「吾妻人と都人(徒然草)」:8
「落人帰りきたり」とて、その内さわぎあへり。
「落人が帰って来た」と言って、(屋敷の)中で(人々が)騒ぎ合っている。「忠度都落1:落人(平家物語)」:6
鼻は面中に在りて堆起せるものなれば、
鼻は顔の中に存在して盛り上がっているものであるから、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:17