接続活用語の已然形に付く。
かの国人、聞き知るまじく思ほえたれども、
その国の人は、これを聞いても理解することができないだろうと思われたが、「二十日の夜の月(土佐日記)」:15
うれしとは思へども、ただ一度にいらへんも、待ちけるかともぞ思ふとて、
うれしいとは思うけれども、たった一度で返事をするのも、待っていたかと(僧たちが)思うといけないと思って、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:10
聖、「それはさこそおぼすらめども、
上人は、「あなたはそのようにお思いになっているでしょうが、「吾妻人と都人(徒然草)」:6
「年来申し承ッて後、おろかならぬ御事に思ひまゐらせ候へども、
「何年もの間、お願いして(歌の)ご指導をいただいて後、(ご厚意は)並一通りでないこととして感謝申し上げておりますが、「忠度都落1:落人(平家物語)」:15
さりぬべき歌いくらもありけれども、
(勅撰集に選ばれるのに)ふさわしい歌はいくつもあったが、「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:22
はや十二三になるまで育てぬれども背も人ならず。
早くも十二、三歳になるまで育てたけれども、身長も人並みでない。「一寸法師1:旅立ち」:11
名残惜しく止むれども、立ち出でにけり。
(おじいさんとおばあさんは)別れるのをつらく思って(旅立ちを)引き止めたけれども、家を出てしまった。「一寸法師1:旅立ち」:27
縁の端へ立ち出でて、御覧ずれども人もなし。
(邸宅の)縁先に出て来てご覧になるがだれもいない。「一寸法師2:上京」:7
宰相殿は、あはれ、このことをとどめ給ひかしとおぼしけれども、
宰相殿は、「ああ、(姫君の母君が)このことをお止めになってくれよ」とお思いになったけれども、「一寸法師3:姫君」:27
思ひわづらひけれども、かひもなく、舟より上がり、
思い悩んだが、(悩んでも)むだで、舟から上がり、「一寸法師4:鬼が島」:9