接続活用語の連用形に付く。ただし、カ変動詞に付く場合は未然形にも付く。また、サ変動詞に付く場合で、「き」の連体形、已然形を用いる時は未然形に付く。
君や来しわれやゆきけむおもほえず
あなたが来たのでしょうか、私が行ったのでしょうか、わかりません「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:5
かきくらす心のやみにまどひにき
真っ暗な闇の中にいるように心が乱れて何が何だかわからなくなってしまいました「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:8
青海原ふりさけみれば春日なる三笠の山に出でし月かも
青い広い海をはるかに見渡すと、春日にある三笠山からのぼった月が見えることだよ「二十日の夜の月(土佐日記)」:13
都にて山の端に見し月なれど
都では山の上に見た月だが、「二十日の夜の月(土佐日記)」:24
都の人は言受けのみよくて実なし」と言ひしを、
都の人は、返事ばかりよくて誠実さがない」と言ったところ、「吾妻人と都人(徒然草)」:5
とことわられ侍りしこそ、
と説明なさいましたのは、「吾妻人と都人(徒然草)」:20
聖教の細やかなる理いと弁へずもやと思ひしに、
仏の教えの詳細な理論はあまりわかっていないのではないかと思っていましたが、「吾妻人と都人(徒然草)」:22
その益もあるにこそと覚え侍りし。
そのおかげもあるのだろうと思われましたことです。「吾妻人と都人(徒然草)」:26
撰集のあるべき由承り候ひしかば、
(勅撰和歌集の)撰集がある予定だということを伺いましたので、「忠度都落1:落人(平家物語)」:21
一首なりとも御恩をかうぶらうど存じて候ひしに、
一首(だけ)であっても(自分の歌を入れていただいて)恩恵にあずかろうと思っておりましたが、「忠度都落1:落人(平家物語)」:23
今はとてうッたたれける時、是をとッてもたれたりしが、
「今は(都落ちをしよう)」ということで出発なさった時、これを取ってお持ちになっていたのだが、「忠度都落1:落人(平家物語)」:34
忠度のありし有様、言ひおきし言の葉、
忠度の生前の有様、言い遺した言葉を、「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:19
さざなみや志賀の都はあれにしをむかしながらの山ざくらかな
志賀の旧都は荒れはててしまったが、昔のまま(の美しさ)で咲いている(長等山の)山桜であることよ「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:26
其身朝敵となりにし上は、子細におよばずといひながら、
その身が朝廷の敵となってしまった以上は、(あれこれと)細かく言うことではないとはいうものの、「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:27
うらめしかりし事どもなり。
残念だった一連の出来事である。「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:28
都へ上らばやと思ひしが、
都へ上ろうと思ったが、「一寸法師1:旅立ち」:24
住みなれし難波の浦を立ち出でて都へ急ぐわが心かな
住み慣れた難波の浦を旅立って、都をめざして急ぐ私の心よ「一寸法師1:旅立ち」:29
かくて、鳥羽の津にも着きしかば、
こうして、(一寸法師は)鳥羽の船着き場に着いたので、「一寸法師2:上京」:1
一寸法師、姫君を見奉りしより思ひとなり、
一寸法師は姫君を拝見した時から恋心を持つようになり、「一寸法師3:姫君」:5
人の讒言により、流され人となり給ふ、田舎にてまうけし子なり。
(堀河の中納言が)人の讒言によって流罪の人となられ、田舎で得た子である。「一寸法師5:帰京」:7
如何やうにして筆を立つべしと談じ合ひしに、
どのようにして訳を書き始めるのがよいかと相談したが、「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:2
少しづつは記憶せし語ありても、前後一向にわからぬことばかりなり。
少しずつは記憶していた単語があっても、まったくわからないことばかりである。「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:13
一行も解し得ることならぬことにてありしなり。
一行も解釈することができない状態だったのである。「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:18
「フルヘッヘンドせしものなり」とあるに至りしに、
「フルヘッヘンドしたものである」とある箇所に至ったが、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:2
これは如何なることにてあるべきと考へ合ひしに、
これはどういうことなのだろうと考え合ったが、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:4
漸く長崎より良沢求め帰りし
ようやく長崎から良沢が買い求めて持ち帰った「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:7
簡略なる一小冊ありしを見合せたるに、
簡略な一冊の小さい本があったのを参照したところ、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:8
連城の玉をも得し心地せり。
非常に価値のある宝玉をも手に入れたような気がした。「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:23
兎追ひしかの山、
兎を追いかけたあの山、「故郷(文部省唱歌)」:1
小鮒釣りしかの川、
小鮒を釣ったあの川、「故郷(文部省唱歌)」:2