接続活用語の連用形に付く。
子一つばかりに、男のもとに来たりけり。
子一つの時分に、男のところに来たのだった。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:15
女がたより出だす盃の皿に、歌を書きて出だしたり。
女の所から出す盃の台皿に、(女が)歌を書いて差し出した。「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:19
かの国人、聞き知るまじく思ほえたれども、
その国の人は、これを聞いても理解することができないだろうと思われたが、「二十日の夜の月(土佐日記)」:15
心をや聞き得たりけむ、
意味を聞き知ることができたのだろうか、「二十日の夜の月(土佐日記)」:18
すでにしいだしたるさまにて、ひしめきあひたり。
もう作りあげた様子で、(僧たちが)集まって騒ぎあっている。「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:7
この児、定めておどろかさんずらんと待ちゐたるに、
この稚児は、きっと自分を起こそうとするだろうと思って待っていたところ、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:8
ずちなくて、むごの後に「えい」といらへたりければ、
どうしようもなくて、長時間経ってから「はい」と返事をしたところ、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:16
薩摩守忠度は、いづくよりや帰られたりけん、
薩摩守忠度は、どこから戻ってこられたのだろうか、「忠度都落1:落人(平家物語)」:1
「落人帰りきたり」とて、その内さわぎあへり。
「落人が帰って来た」と言って、(屋敷の)中で(人々が)騒ぎ合っている。「忠度都落1:落人(平家物語)」:6
「故郷花」といふ題にてよまれたりける歌一首ぞ、
「故郷の花」という題でお詠みになった歌一首を、「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:24
やがてその名を一寸法師とぞ名づけられたり。
(夫婦は)そのままその名を一寸法師と名付けなさった。「一寸法師1:旅立ち」:9
かやうの者をば住吉より給はりたるぞや、
このような者を住吉神社からいただいたのだろうか、「一寸法師1:旅立ち」:15
姫君の御口に塗り、さて茶袋ばかり持ちて泣きゐたり。
姫君のお口に(米の粉を)塗り、そして茶袋だけを持って泣いていた。「一寸法師3:姫君」:10
ただ地獄に乱こそ出で来たれ。ただ逃げよ」と言ふままに、
きっと地獄に騒動が起こったのだ。ともかく逃げろ」と言うやいなや、「一寸法師4:鬼が」:18
図のはじめとはいひ、かたがた先づこれより筆を取り初むべし」と定めたり。
図の初めということもあるし、皆でまずここから執筆を始めよう」と決めた。「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:8
簡略なる一小冊ありしを見合せたるに、
簡略な一冊の小さい本があったのを参照したところ、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:8
弁へかねたり。
理解できなかった。「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:13
「木の枝を断りたる跡癒ゆれば堆くなり、
「木の枝を切った跡が回復すると盛り上がり、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:15
国の守、斎の宮の頭かけたる、
この国の国司で斎宮寮の長官を兼任している人が、「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:13
ここの言葉伝へたる人に言ひ知らせければ、
ここの言葉を伝えている通訳に言い知らせたところ、「二十日の夜の月(土佐日記)」:17
やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこし明かりて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。
だんだんにはっきりしていく山の稜線に近い空が、少し明るくなって、紫がかった雲が、横に細長くかかっている(明け方)。「春はあけぼの(枕草子)」:2
闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。
闇夜もやはり、螢がたくさん飛び交っている(夜は)。「春はあけぼの(枕草子)」:5
夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。
夕日が照って、山に沈もうとしている頃に、烏が寝どころへ行こうとして、三羽四羽、二羽三羽など、急いで飛んでいくのさえ情趣が感じられる。「春はあけぼの(枕草子)」:9
まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。
まして、雁などが列をなして飛んでいるのがとても小さく見えるのは、たいそう趣がある。「春はあけぼの(枕草子)」:10
雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。
雪が降り積もっている早朝は、言うまでもない。「春はあけぼの(枕草子)」:13
かたかたによりて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、
隅の方に寄って、寝たふりをして、できるのを待っていたところ、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:6
すでにしいだしたるさまにて、ひしめきあひたり。
もう作りあげた様子で、(僧たちが)集まって騒ぎあっている。「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:7
今一声よばれていらへんと、念じて寝たるほどに、
もう一声呼ばれてから返事をしようと、がまんして寝ているうちに、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:11
かく柔ぎたる所ありて、
このように柔和なところがあって、「吾妻人と都人(徒然草)」:25
日比読みおかれたる歌どものなかに、
常日頃詠みおかれていた多くの歌の中で、「忠度都落1:落人(平家物語)」:32
今はとてうッたたれける時、是をとッてもたれたりしが、
「今は(都落ちをしよう)」ということで出発なさった時、これを取ってお持ちになっていたのだが、「忠度都落1:落人(平家物語)」:34
三位うしろを遥かに見おくッてたたれたれば、
三位がその後ろ姿を遠くなるまで見送って立っていらっしゃると、「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:13
さて、このほど疲れに臨みたることなれば、まづまづ飯を打ち出し、
そして、このところ疲れに直面していることであるので、まずはご飯を打ち出し、「一寸法師4:鬼が」:24
これに過ぎたることはよもあらじとぞ申し侍りける。
これ以上のことはまさかないだろうと、(世の人々は)申しましたそうです。「一寸法師5:帰京」:21
その名処はみな知れたることなれば、
その名称はみなわかっていることなので、「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:6
たとへば、「眉(ウエインブラーウ)といふものは目の上に生じたる毛なり」とあるやうなる一句も、
たとえば、「眉(ウエインブラーウ)というものは目の上に生えている毛である」と書いてあるような一句も、「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:14