接続体言、活用語の連体形に付く。7、15の場合は活用語の連用形に付く。
月のおぼろなるに、小さき童を先に立てて人立てり。
ぼんやりした月の光の中に、小さい童女を先に立たせて、人が立っている。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:18
野に歩けど、心はそらにて、
野原をあちこち狩をしてまわるが、心はうわのそらで、「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:11
「わが国にかかる歌をなむ、神代より神も詠ん給び、
「私の国ではこのような歌を、神々の時代から神もお詠みになり、「二十日の夜の月(土佐日記)」:10
青海原ふりさけみれば春日なる三笠の山に出でし月かも
青い広い海をはるかに見渡すと、春日にある三笠山からのぼった月が見えることだよ「二十日の夜の月(土佐日記)」:13
都にて山の端に見し月なれど
都では山の上に見た月だが、「二十日の夜の月(土佐日記)」:24
これも今は昔、比叡の山に児ありけり。
これも今となっては昔のことであるが、比叡山の延暦寺に稚児がいた。「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:1
己れは都に久しく住みて馴れて見侍るに、
私は都に長い間住んで、住み慣れて見ていますと、「吾妻人と都人(徒然草)」:7
多かる中に寺をも住持せらるるは、
(世の中に)僧侶が大勢いる中でも(この上人が)寺をも管理なさっているのは、「吾妻人と都人(徒然草)」:24
是に候ふ巻物のうちに、
ここにあります巻物の中に、「忠度都落1:落人(平家物語)」:27
日比読みおかれたる歌どものなかに、
常日頃詠みおかれていた多くの歌の中で、「忠度都落1:落人(平家物語)」:32
「今は西海の浪の底に沈まば沈め、山野にかばねをさらさばさらせ、
「今は西方の海の波の底に沈むなら沈んでもよい、山野に死体をさらすならさらしてもよい、「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:9
浮世に思ひおく事候はず。さらば暇申して」とて、
この俗世に思い残すことはございません。それでは、お別れを申し上げて」と言って、「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:10
彼巻物のうちに、
(忠度から託された)その巻物の中に「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:21
津の国難波の里に、おほぢとうばと侍り。
摂津の国の難波という所に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。「一寸法師1:旅立ち」:2
住吉に参り、なき子を祈り申すに、
住吉神社に参詣し、子どもがいないことについてお祈りしたところ、「一寸法師1:旅立ち」:4
そこもとに乗り捨てて、都に上り、ここやかしこと見る程に、
そこに舟を乗り捨てて、都に上り、あちらこちらを見物すると、「一寸法師2:上京」:2
さて、三条の宰相殿と申す人のもとに立ち寄りて、
そして、三条の宰相殿と申し上げる人の所に立ち寄って、「一寸法師2:上京」:4
さる程に、宰相殿に十三にならせ給ふ姫君おはします。
さて、宰相殿(のところ)に十三歳になられる姫君がいらっしゃる。「一寸法師3:姫君」:3
案のごとく姫君の御口に付きてあり。
予想したとおりに姫君のお口に(米の粉が)付いている。「一寸法師3:姫君」:15
かかる者を都に置きて何かせん。
このような者を都に置いてどうしようか、いや、どうしようもない。「一寸法師3:姫君」:17
心の中に嬉しく思ふこと限りなし。
心の中で嬉しく思うことはこの上ない。「一寸法師3:姫君」:21
一寸法師は、姫君を先に立ててぞ出でにけり。
一寸法師は、姫君を先に立たせて(後に付いて)出て行ってしまった。「一寸法師3:姫君」:26
ただ地獄に乱こそ出で来たれ。ただ逃げよ」と言ふままに、
きっと地獄に騒動が起こったのだ。ともかく逃げろ」と言うやいなや、「一寸法師4:鬼が」:18
この書の最初に仰伏全象の図あり。
この本の最初に人体の前面と背面の全体図がある。「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:4
何れが何れやら心に落付きて弁へぬことゆゑ、
どれがどれなのかしっかりとは判別できていないことであるため、「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:12
たとへば、「眉(ウエインブラーウ)といふものは目の上に生じたる毛なり」とあるやうなる一句も、
たとえば、「眉(ウエインブラーウ)というものは目の上に生えている毛である」と書いてあるような一句も、「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:14
フルヘッヘンドの釈註に、
フルヘッヘンドの注釈において、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:9
鼻は面中に在りて堆起せるものなれば、
鼻は顔の中に存在して盛り上がっているものであるから、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:17
朝には狩に出し立ててやり、
朝には支度をして狩に出してやり、「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:6
子一つばかりに、男のもとに来たりけり。
子一つの時分に、男のところに来たのだった。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:15
明けはなれてしばしあるに、女のもとより、詞はなくて、
すっかり夜が明けてからしばらくたった頃に、女のところから、(歌以外の)言葉はなくて、「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:4
夜やうやう明けなむとするほどに、
夜がそろそろ明けようとする頃に、「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:18
昔、阿倍仲麻呂といひける人は、唐土に渡りて、帰り来ける時に、
昔、安倍仲麻呂といった人は、唐の国に渡って、帰って来ようとした時に、「二十日の夜の月(土佐日記)」:4
今は上中下の人も、かうやうに別れ惜しみ、喜びもあり、悲しびもある時には詠む」
今は身分が高い人も中ぐらいの人も低い人も、このように別れを惜しんだり、また喜びがあったり、悲しみがあったりする時には詠みます」「二十日の夜の月(土佐日記)」:11
夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。
夕日が照って、山に沈もうとしている頃に、烏が寝どころへ行こうとして、三羽四羽、二羽三羽など、急いで飛んでいくのさえ情趣が感じられる。「春はあけぼの(枕草子)」:9
今一声よばれていらへんと、念じて寝たるほどに、
もう一声呼ばれてから返事をしようと、がまんして寝ているうちに、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:11
ずちなくて、むごの後に「えい」といらへたりければ、
どうしようもなくて、長時間経ってから「はい」と返事をしたところ、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:16
其後世しづまッて、千載集を撰ぜられけるに、
その後、世の中が平穏になって、(俊成卿が)千載集を編集なさった時に、「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:18
やがて十月と申すに、いつくしき男子をまうけけり。
そして十ヶ月と申します時に、美しい男の子を授かった。「一寸法師1:旅立ち」:7
年月を経る程に、
年月を過ごすうちに、「一寸法師1:旅立ち」:10
かくて年月送る程に、
こうして年月を送るうちに、「一寸法師3:姫君」:1
姫君の臥しておはしますに、はかりごとをめぐらし、
姫君が寝ていらっしゃる時に、計略をたてて、「一寸法師3:姫君」:9
さて、この書を読みはじむるに、
さて、この本を読み始める時に、「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:1
彷彿として、長き春の一日には明らめられず、
意味がぼんやりしていて、長い春の一日では解明できず、「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:15
時に、翁思ふに、
その時に、私が思うには、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:14
その男、伊勢の国に狩の使に行きけるに、
その男が伊勢の国に狩の使として行ったところ、「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:2
夕さりはかへりつつ、そこに来させけり。
夕方は帰ってくるたびにそこに来させた。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:7
子一つばかりに、男のもとに来たりけり。
子一つの時分に、男のところに来たのだった。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:15
男、いとうれしくて、わが寝る所に率て入りて、
男はとてもうれしく思って、自分の寝所に(女を)連れて入って、「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:19
昔、阿倍仲麻呂といひける人は、唐土に渡りて、帰り来ける時に、
昔、安倍仲麻呂といった人は、唐の国に渡って、帰って来た時に、「二十日の夜の月(土佐日記)」:4
波より出でて波にこそ入れ
ここでは波からのぼって波に沈むことだよ「二十日の夜の月(土佐日記)」:25
五条の三位俊成卿の宿所におはして見給へば、
五条の三位俊成卿の住居においでになってご覧になると、「忠度都落1:落人(平家物語)」:3
「前途程遠し、思を雁山の夕の雲に馳す」と、
「これから行く道は遠い。思いを(遥か彼方の)雁山にかかる夕暮れ時の雲に差し向ける」と、「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:15
其身朝敵となりにし上は、子細におよばずといひながら、
その身が朝廷の敵となってしまった以上は、(あれこれと)細かく言うことではないとはいうものの、「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:27
うば四十に及ぶまで子のなきことを悲しみ、
おばあさんが四十歳になるまで子どもがいないことを悲しんで、「一寸法師1:旅立ち」:3
かくて、鳥羽の津にも着きしかば、
こうして、(一寸法師は)鳥羽の船着き場に着いたので、「一寸法師2:上京」:1
そこもとに乗り捨てて、都に上り、ここやかしこと見る程に、
そこに舟を乗り捨てて、都に上り、あちらこちらを見物すると、「一寸法師2:上京」:2
打出の小槌、杖、笞、何に至るまでうち捨てて、
打出の小槌、杖、笞など何から何まで投げ捨てて、「一寸法師4:鬼が」:19
「フルヘッヘンドせしものなり」とあるに至りしに、
「フルヘッヘンドしたものである」とある箇所に至ったが、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:2
かたかたによりて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、
隅の方に寄って、寝たふりをして、できるのを待っていたところ、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:6
女がたより出だす盃の皿に、歌を書きて出だしたり。
女の所から出す盃の台皿に、(女が)歌を書いて差し出した。「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:19
その盃の皿に続松の炭して、
その盃の台皿に、たいまつの燃え残りの炭で、「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:23
船に乗るべき所にて、かの国人、馬のはなむけし、
船に乗る予定の場所で、その国の人が、送別の宴会を開き、「二十日の夜の月(土佐日記)」:5
ここの言葉伝へたる人に言ひ知らせければ、
ここの言葉を伝えている通訳に言い知らせたところ、「二十日の夜の月(土佐日記)」:17
三位殿に申すべき事あッて、忠度が帰り参ッて候ふ。
三位殿に申し上げなければならないことがあって、忠度が帰って参ったのでございます。「忠度都落1:落人(平家物語)」:9
鎧のひきあはせより取り出でて、俊成卿に奉る。
(その巻物を)鎧の合わせ目から取り出して、俊成卿にさしあげる。「忠度都落1:落人(平家物語)」:35
馬にうち乗り、甲の緒をしめ、
馬に乗り、胄の紐を引き締め、「忠度都落2:故郷の花(平家物語)」:11
刀なくてはいかがと思ひ、針を一つうばに請ひ給へば、
刀がなくてはどうかと思い、針を一本(くださいと)おばあさんにお願いなさったところ、「一寸法師1:旅立ち」:21
またうばに「御器と箸とたべ」と申しうけ、
またおばあさんに「お椀と箸をください」とお願いして(お椀と箸を)いただき、「一寸法師1:旅立ち」:26
ある時、貢物の打撒取り、茶袋に入れ、
ある時、献上品の米を取って茶袋に入れ、「一寸法師3:姫君」:8
姫君の御口に塗り、さて茶袋ばかり持ちて泣きゐたり。
姫君のお口に(米の粉を)塗り、そして茶袋だけを持って泣いていた。「一寸法師3:姫君」:10
いかにも失ふべし」とて、一寸法師に仰せつけらるる。
どのようにでも追い出しなさい」と言って、一寸法師に命令なさった。「一寸法師3:姫君」:18
闇へ遠く行く風情にて、都を出でて、足にまかせて歩み給ふ。
(姫君は)暗闇の中へ遠くまで行くような様子で、都を出て、足が向くままにお歩きになる。「一寸法師3:姫君」:24
鳥羽の津より舟に乗り給ふ。
鳥羽の船着き場から舟にお乗りになる。「一寸法師4:鬼が」:4
さて、このほど疲れに臨みたることなれば、まづまづ飯を打ち出し、
そして、このところ疲れに直面していることであるので、まずはご飯を打ち出し、「一寸法師4:鬼が」:24
幼き時より、父母におくれ給ひ、
(おばあさんは)幼い時から、父母に先立たれなさって、「一寸法師5:帰京」:9
その時の嬉しさは、何にたとへんかたもなく、
その時の嬉しさは、何にたとえようもなく、「翻訳苦心談 2(蘭学事始)」:22
雨に風につけても、
雨につけても風につけても、「故郷(文部省唱歌)」:7
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。
昼になって、だんだんにあたたかくなり寒さがゆるんでいくと、火桶の火も、白く灰が多くなって、よくない。「春はあけぼの(枕草子)」:16
はや十二三になるまで育てぬれども背も人ならず。
早くも十二、三歳になるまで育てたけれども、身長も人並みでない。「一寸法師1:旅立ち」:11
一寸法師十六になり、背はもとのままなり。
一寸法師は十六歳になり、(しかし)身長は以前と同じである。「一寸法師3:姫君」:2
さる程に、宰相殿に十三にならせ給ふ姫君おはします。
さて、宰相殿(のところ)に十三歳になられる姫君がいらっしゃる。「一寸法師3:姫君」:3
わが女房にせばやと思ひ、
自分の妻にしようと思い、「一寸法師3:姫君」:7
堀河の少将になし給ふこそめでたけれ。
堀河の少将になさったことこそはめでたいことである。「一寸法師5:帰京」:11
さる程に、少将殿、中納言になり給ふ。
そのうちに、少将殿は、中納言におなりになる。「一寸法師5:帰京」:13
朝には狩に出し立ててやり、
朝には支度をして狩に出してやり、「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:6
とよみてやりて、狩に出でぬ。
と詠んで女のもとに送って、狩に出かけた。「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:10
かきくらす心のやみにまどひにき
真っ暗な闇の中にいるように心が乱れて何が何だかわからなくなってしまいました「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:8
僧たち、宵のつれづれに、
僧たちが、夜の退屈さに、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:2
なべて心柔かに情ある故に、
(都の人は)総じて柔和で優しい気持ちがあるために、「吾妻人と都人(徒然草)」:9
住吉の御誓ひに、末繁盛に栄え給ふ。
住吉の神のご誓言によって、子孫の代まで勢い盛んにお栄えになる。「一寸法師5:帰京」:19
賑はひ、豊かなれば、人には頼まるるぞかし」
(ただし、)富み栄えていて財力があるので、人には頼りにされるのだよ」「吾妻人と都人(徒然草)」:19
親にもかやうに思はるるも口惜しき次第かな、何方へも行かばやと思ひ、
親にまでこのように思われるのも残念な状況だなあ、どこへでも出て行こうと思い、「一寸法師1:旅立ち」:20
一寸法師、かくて人にも踏み殺されんとて、
一寸法師は、こうして(いては)人に踏み殺されるだろうと思って、「一寸法師2:上京」:8
一寸法師は、鬼に呑まれては目より出でて跳びありきければ、
一寸法師は、鬼に飲まれるたびに目から出て跳びまわったので、「一寸法師4:鬼が」:16
その男、伊勢の国に狩の使に行きけるに、
その男が伊勢の国に狩の使として行ったところ、「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:2
「年来申し承ッて後、おろかならぬ御事に思ひまゐらせ候へども、
「何年もの間、お願いして(歌の)ご指導をいただいて後、(ご厚意は)並一通りでないこととして感謝申し上げておりますが、「忠度都落1:落人(平家物語)」:15
生涯の面目に、
生涯の名誉として、「忠度都落1:落人(平家物語)」:22
姫君、あさましきことにおぼしめして、
姫君は、嘆かわしいことだとお思いになって、「一寸法師4:鬼が」:1
言の心を、男文字に様を書き出だして、
言葉の意味を、漢字でその様子を書き表して、「二十日の夜の月(土佐日記)」:16
四条五条の有様、心も言葉にも及ばれず。
四条・五条の様子は、想像も及ばず言葉でも表せない(ほどすばらしい)。「一寸法師2:上京」:3
月のおぼろなるに、小さき童を先に立てて人立てり。
ぼんやりした月の光の中に、小さい童女を先に立たせて、人が立っている。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:18
この児、心よせに聞きけり。
この稚児は期待して聞いた。「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:4
あなわびしと思ひて、今一度起こせかしと思ひ寝に聞けば、
ああ残念と思って、もう一度起こしてくれよと思いながら寝て聞いていると、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:14
住吉の御誓ひに、末繁盛に栄え給ふ。
住吉の神のご誓言によって、子孫の代まで勢い盛んにお栄えになる。「一寸法師5:帰京」:19
また庭を掃除すれば、その塵土聚まりフルヘッヘンドすといふやうに読み出だせり。
また庭を掃除すると、その塵や土が集まってフルヘッヘンドするというように解読できた。「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:11
このこと隠れなければ、内裏に聞こしめされて、
このことが世間に広まったので、天皇がお聞きになって、「一寸法師5:帰京」:2
ひしひしとただくひにくふ音のしければ、
むしゃむしゃとひたすら食べる音がしたので、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:15
心かたちよりはじめ、よろづ人にすぐれ給へば、
人柄、容姿をはじめとして、すべて人より優れていらっしゃるので、「一寸法師5:帰京」:14
これに過ぎたることはよもあらじとぞ申し侍りける。
これ以上のことはまさかないだろうと、(世の人々は)申しましたそうです。「一寸法師5:帰京」:21
人の讒言により、流され人となり給ふ、田舎にてまうけし子なり。
(堀河の中納言が)人の讒言によって流罪の人となられ、田舎で得た子である。「一寸法師5:帰京」:7
接続活用語の連体形に付く。
子一つより丑三つまであるに、
子一つから丑三つまで時がたったが、「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:20
まだ何ごともかたらはぬにかヘりにけり。
まだ何も語り合わないのに(女は)帰ってしまったのだった。「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:21
聖教の細やかなる理いと弁へずもやと思ひしに、
仏の教えの詳細な理論はあまりわかっていないのではないかと思っていましたが、「吾妻人と都人(徒然草)」:22
一首なりとも御恩をかうぶらうど存じて候ひしに、
一首(だけ)であっても(自分の歌を入れていただいて)恩恵にあずかろうと思っておりましたが、「忠度都落1:落人(平家物語)」:23
四十一と申すにただならずなりぬれば、おほぢ喜び限りなし。
四十一歳と申しますのに(懐妊して)普通でない状態になったので、おじいさんの喜びようはこの上ない。「一寸法師1:旅立ち」:6
これは如何なることにてあるべきと考へ合ひしに、
これはどういうことなのだろうと考え合ったが、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:4
これは如何なる意味なるべしと、また例の如くこじつけ考へ合ふに、
これはどういう意味であろうと、また例のように無理に解釈して考え合ったが、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:12
その男、伊勢の国に狩の使に行きけるに、
その男が伊勢の国に狩の使として行ったところ、「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:2
外の方を見出してふせるに、
外の方を見ながら横になっていると、「狩の使1:おぼろ月(伊勢物語)」:17
今宵だに人しづめて、いととくあはむと思ふに、
せめて今夜こそは人の寝静まるのを待って、とても早く逢おうと思っていると、「狩の使2:夢うつつ(伊勢物語)」:12
かたかたによりて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、
隅の方に寄って、寝たふりをして、できるのを待っていたところ、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:6
この児、定めておどろかさんずらんと待ちゐたるに、
この稚児は、きっと自分を起こそうとするだろうと思って待っていたところ、「ちごの空寝(宇治拾遺物語)」:8
己れは都に久しく住みて馴れて見侍るに、
私は都に長い間住んで、住み慣れて見ていますと、「吾妻人と都人(徒然草)」:7
中ごろのことなるに、
それほど遠くない昔のことであるが、「一寸法師1:旅立ち」:1
住吉に参り、なき子を祈り申すに、
住吉神社に参詣し、子どもがいないことについてお祈りしたところ、「一寸法師1:旅立ち」:4
如何やうにして筆を立つべしと談じ合ひしに、
どのようにして訳を書き始めるのがよいかと相談したが、「翻訳苦心談1:読みはじめ(蘭学事始)」:2
「フルヘッヘンドせしものなり」とあるに至りしに、
「フルヘッヘンドしたものである」とある箇所に至ったが、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:2
簡略なる一小冊ありしを見合せたるに、
簡略な一冊の小さい本があったのを参照したところ、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:8
時に、翁思ふに、
その時に、私が思うには、「翻訳苦心談2:連城の玉(蘭学事始)」:14
またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭もてわたるも、いとつきづきし。
またそうでなくても、ひどく寒いので、火など急いでおこして、炭を持って行くのも、まさに冬の早朝にふさわしい感じがする。「春はあけぼの(枕草子)」:15